中小企業こそコンテンツマーケティングに挑戦して、顧客の視線を獲得しよう。
日本でインターネットが普及し始めてから、そろそろ30年が経ちます。さすがに「ホームページくらい持ってないと」「名刺代わりに」という程度の理由で、webサイトを開設する企業は少なくなりました。誰もがモバイル端末を持ち歩き、いつでも、どこでもネットに接続して情報を発信・探索する現代では、BtoCにせよBtoBにせよ、もはやwebサイトはマーケティング上不可欠の存在となっているからです。
その反面、中小企業や小規模の事業者はその持てるリソースに限りがあり、特にデジタルテクノロジーの方面に明るい人材の確保は、なかなか難しい傾向があります。
そのために「webサイトを使いこなす」レベルにはなかなか到達できず、会社案内のweb版としてホームページの見栄えは整えたものの、ある程度のアクセス数に達するとそこからなかなか伸びず、新規の流入も増えない、というケースが数多く発生しています。
今回の記事では、それに対応する策のひとつとして有効な、「コンテンツマーケティング」について述べてみたいと思います。
Contents
「コンテンツマーケティング」って何だろう
「コンテンツマーケティング」という言葉自体は、世間にかなり浸透した感があります。経営やIT系のメディアを読んでいても、もはや解説なしで当たり前のようにこのワードが文中に出てくるようになりました。もともとは2010年代半ばに、アメリカで提唱された概念です。その草分けであるThe Content Marketing Institute (CMI:コンテンツマーケティング・インスティテュート)の解説をちょっとのぞいてみましょう。
Useful content should be at the core of your marketing.
Traditional marketing is becoming less and less effective by the minute; as a forward-thinking marketer, you know there has to be a better way.
Enter content marketing.
Content marketing is a strategic marketing approach focused on creating and distributing valuable, relevant, and consistent content to attract and retain a clearly defined audience — and, ultimately, to drive profitable customer action.
Instead of pitching your products or services, you are providing truly relevant and useful content to your prospects and customers to help them solve their issues.
【和訳】コンテンツマーケティングとは何か?
企業はコンテンツの有用性を認識し、マーケティングの中核に据えるべきです。
従来型のマーケティングは、時を追うごとに効果が低下しています。先見の明を持つマーケターであるあなたなら、もっと良い方法を知っているはずです。
コンテンツマーケティングは、戦略的なアプローチです。一貫した視点のもとに価値あるコンテンツを作成し、公開していくことで狙った視聴者、読者の目を引き付け、維持し、関係性を構築します。そして最終的には、高い収益性(利益)に結び付く行動へと促していきます。
コンテンツマーケティングは製品やサービスを直接的に売り込む代わりに、見込み客や顧客に本当に役立つ、有用なコンテンツを提供して、ユーザーの問題解決を支援します。
それほど難しいことは言っていませんね。ユーザーの関心が高く、役に立つコンテンツを提供しなさい。そうすればみんなが集まるようになり、サイトの信頼感が増し、ファンが増えて、製品やサービスを買ってくれるようになりますよ。というようなことを言っているわけです。
皆さんがご覧になっているこのリップルネットのwebサイトにも、もちろんコンテンツマーケティングに相当するものが掲載されています。どれがそうなのか、わかりますでしょうか。
ページ上部に並んだメニューバーの中に、「コラム」というカテゴリタイトルがあります。そこにカーソルを合わせると、
・ホームページ更新管理 (21)
・社長のWEB戦略 (2)
・社長のHP制作講座 (101)
というサブカテゴリが現れます(カッコ内の数字は2022.11.25現在のものです)。
これがリップルネットのコンテンツマーケティングのコンテンツ(ややこしい)です。
では、「コンテンツ」って何?
ところで、ここまで特に説明もなくコンテンツ(contents)という言葉を使ってきましたが、ではコンテンツとは何でしょうか。紙の本や雑誌を開くと、「目次」のページに英語で”contents”と書かれていることがあります。テレビや映画、動画配信の世界では、編集されたひとかたまりの番組それぞれをコンテンツと呼んだりもしていますね。作品単体では、あまりコンテンツとは言わないようです。となると、コンテンツとは
“ある目的のもとに複数の作品、ないしは断章を集約・編集し、全体をひとかたまりのものとしたとき、構成要素となる一つ一つの中身、内容物、番組などを指し示す”
ものである、と定義できるのではないでしょうか。書籍のコンテンツは目次に示した各章であり、映画会社が保有するコンテンツは版権を持った映画作品群です。スポーツチャンネルは放映権のある試合や、そのアーカイブがコンテンツです。リップルネットのコンテンツは先にあげた「コラム」がそうですが、それ以外の「制作事例」や「社長ヒストリー」など、サイトの他の読み物もすべてコンテンツということになります。
前述したコンテンツマーケティング・インスティテュートの解説と合わせて考えると、web戦略においては
“サイトに訪れて欲しいユーザー層に向けて発信する、問題解決に結び付く企業からの情報群”こそがコンテンツだと言えます。そしてその先には”信頼性を獲得し結びつきを強めることで、製品やサービ
スの購入を期待する”という目的があります。この目的を意識的にコントロールし、情報の発信を通じて戦略的にユーザーを獲得しにいく行為、これがコンテンツマーケティングです。
リップルネットも多くの皆さんの役に立つ記事をたくさん掲載し、一人でも多くのユーザーに訪れていただいて、何らかの成約につなげることでユーザーとWin-Winの関係を築きたい、と考えています。そうした思いから、「コラム」を運営しているのです。
旧来のメディアも、広い意味ではプリミティブな形のコンテンツマーケティンと言えます。目次を読んで役に立ちそう、面白そう、と思えばその本は買ってもらえます。そのチャンネルでしか見られない試合があったら、思わずそのメディアと契約してしまうでしょう。昔のおもちゃ会社は(今もそうですが)子供におもちゃを買ってもらおうと、ロボットやヒーローが登場するアニメ・特撮のコンテンツをテレビで放映しました。
ネット時代になり、企業はより洗練された形でユーザーにコンテンツを発信することができるようになっています。コンテンツマーケティングに取り組まないのは、非常にもったいないと言わざるを得なくなっているのです。
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広告とコンテンツマーケティングの比較
自社サイトに多数のユーザーを呼び込み、アクセス数を増やすには大きく二通りのやり方があります。ひとつは、ここまで述べてきた「コンテンツマーケティング」、もうひとつがweb広告です。
web広告には色々な種類があり、ネットにはそれぞれの特徴を解説したサイトや資料が毎年アップデートされていますので、ご興味のある方は調べてみてください。解説記事のひとつを下にご紹介しておきます。
【図解解説】Web広告の種類一覧|それぞれの特徴・効果を徹底解説 | JAJAAAN
コンテンツマーケティングとweb広告、どちらもメリットとデメリットがあります。
メリット・デメリットの比較を表にまとめているので、ご参照ください。端的に比較すると
・広告は費用がかかるが、すぐに効果がでやすい
・コンテンツマーケティングは少ない予算でできるが、手間と時間がかかる
という点が最も異なります。
そして、
・広告は掲載期間が終わると消えてしまうが、コンテンツは長期にわたって残る
という、機能上の大きな違いがあります。
コンテンツは蓄積すればするほど、ノウハウやTIPS、知識の貯蔵庫としての価値が上がっていきます。またそこで使われている語群がキーワードになって、ユーザーの検索にかかりやすくなります。育てるのに時間はかかりますが、自社サイトへ誘導できる入り口が徐々に増えていくため、集客効果が期待できるのです。
良質のコンテンツをどのように創っていくのか
いいことづくめに思えるコンテンツマーケティングですが、ネックはあります。上の図中のデメリットで示したように、手間と時間がかかること、そして継続することが重要だ、という点です。コンテンツマーケティングを成功に導くには、良質のコンテンツを継続的にアップする必要があります。簡単なようでいて、ここが最も大変です。
ユーザーが検索から貴社のwebサイトを見つけたとして、「これは役立ちそうだ」とか「面白い内容だ」と思ってもらわなければ、読む前に離脱されてしまいます。そうした”良質のコンテンツ”には、いくつかの要素が存在します。
「EAT」という言葉があります。Expertise(専門性)、Authoritativeness(権威性)、Trustworthiness(信頼性)の頭文字をつなげた造語で、この3つがしっかり担保されているほどコンテンツの価値が高くなる、と言われます。これに加え、ユーザーの疑問や悩みの解決に役立つ有用性、他にはないオリジナリティ・独創性もあればさらに強力です。そんな記事コンテンツを、どうやって創ればいのでしょうか。
まず必要なのは「当事者の視点」です。自社の製品やサービスを誰よりも知り尽くしているのは、その会社の社員です。当事者ですから業界や市場の状況を把握しており、お客さまのこともよく知っています。そして何より「この製品・サービスをお勧めしたい」という思い入れ、熱量があることが大事です。予測されるユーザーの悩みや疑問に対し、熱意をもって解決策を提案できるのは、なんといってもそこに直接携わる立場の人々です。
次に大切なのは「コンテンツ作成の専門スキル」です。
コンテンツマーケティングにおけるコンテンツは、その多くが文章を核とした”記事コンテンツ”です。不特定多数のユーザーが読むことを想定して、正しい日本語で読みやすく内容を伝えられる「文章力」と、どんな主題をどのように順序だてて書けばよいかを組み立てる「構成力」「企画力」が要求されます。これらは記事コンテンツを制作するうえでの基礎体力に相当します。
さらに前項で述べた「当事者性」を一旦離れ、経済環境や社会的要因などのトレンドを意識しつつ、市場や業界を俯瞰できる視野と客観的な視点が加味されれば、魅力的なコンテンツを作成できます。意外な切り口、斬新な発想は読者を惹きつける重要な要素です。
コンテンツには文章だけでなく、画像や動画を含む場合があります。動画編集やインフォグラフィックス(伝えたいことを視覚により強く印象付ける技術)、SEOやデジタルマーケティングの知識もあれば、なお望ましいでしょう。
しかし、これらのスキルをすべて備えたスーパー社員は、現実にはなかなか存在しません。当事者としてのスキルを持った担当者に教育を施し、専門スキルを身に着けてもらうのは時間もコストもかかりますし、当人が辞めてしまえばまた代わりを育てなければならなくなります。中小企業には負担が大きい、と言わざるを得ません。
そこでコンテンツマーケティングを実施するうえで最も現実的なのは、「当事者の視点:社内の担当者」+「コンテンツ作成の専門スキル:外部の専門協力機関」の組み合わせです。
御社のホームページの担当者、そしてできれば経営者ご自身と、例えばリップルネットのような支援会社の二人三脚でコンテンツマーケティングの企画を練り、方向性をフォーカスしていくわけです。素材の提供や取材、実際のコンテンツライティングとチェック、フィードバック、オウンドメディア(自社web上にコンテンツを掲載する場所)運営など、適切に役割を分担して、計画的に進めていくことが実は一番の早道です。
自社webコンテンツの発想例
自社でコンテンツマーケティングに取り組まれている方々から、「記事のネタに困る」というお話をよく聞きます。はじめのうちは書くことがいろいろあっても、だんだんネタ切れになってきて、やがて何を書けばよいのかわからなくなる、というわけです。
そんな時は、こちらの記事を参考にしてみてください。
【ネタ切れ対策】ホームページに載せるニュースやトピックがない場合の対処法 (rip-ple.com)
リンク先の記事で具体的に解説していますが、「時事ネタをチェックする」「お客様とのやりとりはネタだらけ」「商材に関するキーワードをチェックする」の3つの視点がコンテンツの幅を広げます。
例えば、リップルネットのクライアント様には工務店さんや建設関連の業種が多くいらっしゃいます。それらのクライアント様のwebサイトを閲覧するのは、エンドユーザーである一般のお客さまです。この両者の関係性に、先ほどの視点をからめていくと
「時事ネタをチェックする」…サステナブル、SDGsに関心のあるお客さまが多いのではないか
→コンテンツ例「工事で出た残土はどこへ行くの?リサイクルできないの?」
「お客様とのやりとりはネタだらけ」…玄関のリフォームを依頼された。当初の施工に不満がおあり
→コンテンツ例「失敗しない玄関施工のコツ、トレンドとは」
「商材に関するキーワードをチェックする」…擁壁工事が得意だが、あまり認知されていない
→コンテンツ例「ご自宅や周辺の擁壁は大丈夫?経年劣化を検証するチェックリスト!」
こうしたタイトルや企画を考えるプロセスは、クリエイティブな要素があり楽しいものです。自社内の担当セクションや関係する従業員、制作協力会社のスタッフらとブレインストーミングをしながら、自由な発想でアイデア出しを行い、創る方にとっても、読む立場にとっても面白い、意味のあるコンテンツを創出してください。