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クッキー規制時代におけるデータ活用法

近年、Webマーケティングの現場で注目されている大きな変化のひとつが「クッキー規制」です。今までインターネット上でのユーザーの行動を追跡し、広告表示や商品提案に活用されていたクッキーという仕組みが、世界的に見直されつつあります。これにより、これまで通りの方法でユーザーの情報を収集するのが難しくなってきているのです。

では、そんな環境の中でも、私たちはどうやって顧客との接点を持ち、マーケティングに活かす情報を得ていけば良いのでしょうか?この記事では、クッキーに頼らない時代における、これからのデータ活用法についてご紹介します。

クッキーとは何か、そしてなぜ規制されるのか

クッキーとは、ユーザーがWebサイトを訪れた際に、閲覧履歴や行動パターンをブラウザに一時的に保存する仕組みのことです。たとえば、一度見た商品をあとから別のサイトで広告として表示したり、ログイン状態を維持したりするのに使われてきました。

しかし、ユーザーがどのサイトで何を見たか、何を検索したかまで細かく追跡されるようになり、プライバシーの侵害と見なされる場面が増えました。これに対して世界各国が対応を強化し、ユーザーの明確な同意がない限り、クッキーによる追跡が制限されるようになってきたのです。GoogleやAppleといった企業もクッキー規制に合わせた方針を取り始め、これまで当たり前だった手法が今や使えなくなりつつあります。

これからの時代に活用できる「質の高い情報」

クッキーに依存できない時代では、今まで以上に「自社が直接得た情報」が重要になります。具体的には、Webサイトでの問い合わせ履歴、メールマガジンの登録、資料請求、購入履歴、会員登録の情報など、自社の中で得た情報を指します。これは「ファーストパーティーデータ」と呼ばれますが、要は自分の会社の活動の中で自然に集まる、正当性のある情報ということです。

こうした情報は、ユーザーが自ら提供してくれるものなので、信頼性が高く、クッキー規制の影響も受けません。例えば、問い合わせフォームの「相談内容」、購入時の「選んだ商品」「配送先」「希望日時」などもれっきとした大事なデータです。

また、アンケートやレビュー、SNSでのコメントも非常に有益な情報です。ユーザーがどんな悩みを抱えていて、どういう点に満足し、何に不満を感じているかなど、サービス改善のヒントが詰まっています。

ユーザーの信頼を得ながら情報を活用する方法

これからの時代は「データをどう集めるか」ではなく、「どう信頼してもらい、納得して提供してもらうか」が大きなポイントです。情報を集めるときには、何のためにその情報を使うのかを丁寧に説明し、ユーザー自身に選んでもらう仕組みをつくることが必要です。

たとえば、登録フォームには「入力された情報は〇〇の目的でのみ使用します」といった説明を記載し、チェックボックスで同意を得るようにするのが基本です。さらに、提供された情報をユーザーの役に立つよう活用することで、信頼を得ることができます。

おすすめの商品を案内したり、利用履歴からぴったりのサービスを紹介したりと、「この会社は自分のことをわかってくれている」と感じてもらえるような活用ができれば、長期的な関係性につながります。

クッキーに頼らないマーケティング戦略の具体例

実際に、クッキーを使わずに成果を上げている企業も増えています。ある中小の化粧品メーカーでは、ECサイト上での購入履歴とアンケート結果をもとに、お客様ごとに違う内容のメールを送信しています。たとえば、敏感肌の方には低刺激の新商品を紹介したり、乾燥が気になる方には保湿力の高いアイテムを提案したりと、それぞれの悩みに寄り添う形にしています。

また、ある飲食チェーンでは、会員アプリを通じて来店履歴を蓄積し、来店回数や時間帯に応じたクーポンを配信しています。こうすることで、ユーザーの「また行きたい」という気持ちを後押しし、再来店率の向上に成功しています。

こうした施策は、外部の追跡データに依存せず、すべて自社内のデータで完結しているため、クッキー規制が進んでも安定して運用が可能です。

まとめ

クッキー規制によってWebマーケティングのやり方は確かに変わってきていますが、それは決してマイナスではありません。むしろ、自社とお客様との信頼関係を深め、より丁寧なコミュニケーションを行うチャンスでもあります。

一時的には情報の取り扱いや仕組みの見直しが必要になるかもしれませんが、長期的には「自社でしっかりと運用できるマーケティング基盤」を築けるようになります。

時代に流されず、変化をチャンスに変える視点を持ちながら、これからのWeb活用に向き合っていきましょう。自社のファンを増やし、売上につなげていくには、まずは小さく始めて、コツコツ続けることが何よりの近道です。

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